エクササイズの内容や効果など、似ている箇所がたくさんあるピラティスとヨガですが、成り立ちや目的が違います。
実際に「ピラティスとヨガ、どちらが自分に合っているの?」とお悩みの方もとても多いです。
この記事では、ピラティスとヨガの違い、それぞれに向いている人向いていない人を解説します。
ピラティスとヨガのどちらを始めるか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ピラティスとヨガの違い
似てるように見えるピラティスとヨガですが、違いは大きく5つあります。
- 成り立ち
- 目的
- 身体の動き・呼吸法
- 効果
- 使用するマット
それぞれの違いについて、詳しく解説します。
①成り立ち
ピラティスとヨガ、それぞれの成り立ちの違いから説明します。
ピラティスとは、ドイツ人の看護師であるジョセフ・ピラティス氏が考案したエクササイズです。
元々は、自分の貧弱体質を改善するために考案したのが始まりで、後に第一次世界大戦で負傷した兵士たちが寝たままリハビリできるエクササイズとして発展しました。
ピラティスを広めるためにニューヨークに渡米した結果、西海岸やハリウッドを中心としたアメリカ全土で普及し、今ではリハビリ目的ではなく、身体づくりを目的とした人気のフィットネスとなりました。
一方のヨガは約4500年前に、仏教やヒンドゥー教の修行として始まっており、ピラティスよりも長い歴史を持ちます。
呼吸法とポーズに重点を置き、リラックスと心身を整える目的として、現在のヨガの形ができました。
②目的
ピラティスとヨガは目的が明確に違います。
ピラティスは、主に身体を健康的に鍛えることが目的です。
マットの上で運動したりマシンを使ったりして、インナーマッスルや体幹を中心に鍛えていきます。
インナーマッスルを鍛えると、背骨や骨盤の位置が正しく整い、猫背などの姿勢改善が期待できます。
一方のヨガは、呼吸法や瞑想などで、心身を安定した状態にすることが目的です。
さまざまなポーズで静止し、身体の動きと呼吸に集中し、瞑想の効果が高まります。
③呼吸法
ピラティスとヨガは、身体の動きと呼吸法も違います。
ピラティスは、胸式呼吸でエクササイズを行います。
胸式呼吸とは、肋間筋(肋骨と肋骨の間の筋肉)を使い、肋骨を上げ下げして行う呼吸法です。
胸式呼吸は、活動時に活発する交感神経を優位にする働きがあるため、運動のパフォーマンス上がり、頭も体もスッキリとして集中力が高まります。
ヨガは腹式呼吸で行います。
腹式呼吸とは、吸うときに横隔膜を下げるイメージでお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませる呼吸法です。
深くゆっくり腹式呼吸を行うことで、休息時に活性化する副交感神経を優位にする作用があり、リラックス効果を得られます。
④効果
ピラティスのエクササイズは、インナーマッスルを刺激し、体幹を鍛える効果が期待できます。
インナーマッスルとは、身体の深いところにある小さな筋肉です。
インナーマッスルを鍛えると、背骨や骨盤の位置が正しく整い、猫背などの姿勢改善が期待できます。
ヨガのエクササイズは、リラックス感が高まり精神の安定に効果があるといわれています。
また、普段の生活では使わない筋肉が刺激されるため、血流が促進され老廃物が排出されるデトックス効果も期待できます。
⑤使用するマット
ピラティスは寝転んだり横向きになったりする動きが多いため、骨が硬い床に当たり痛くならないよう厚みのあるマットを使用します。
セラバンドと呼ばれるゴムのバンドやマジックサークルなどの専用プロップスを使われることがほとんどです。
ヨガはポーズをそのままキープすることが多いため、薄くて滑りにくいヨガマットを使用します。
マットの他に、ヨガベルトと呼ばれる布製のベルトや、軽いブロックでポーズのサポートをする場合もあります。
ピラティスとヨガの共通点
ピラティスとヨガの違いを紹介してきましたが、エクササイズの内容や効果など、似ている箇所がたくさんあります。
ピラティスとヨガの共通点は、主に4つ挙げられらます。
- 深い呼吸を活用することで、精神的にリラックスできる
- 身体の歪みを整える
- 筋力と柔軟性を強化できる
- ストレス解消やリラックス効果
ピラティスはもともとヨガをベースにして作られたエクササイズのため、共通点がたくさんあります。
ダイエットに効果的なのはピラティスとヨガどっち?
よく似ていると言われるピラティスとヨガですが、実際どちらの方がダイエットに効果的なのでしょうか。
結論、消費カロリーの多い「ピラティス」のほうが、瘦せる効果が期待できます。
ただ、ピラティスとヨガどちらもダイエット効果は期待できるので、両方併用している方も少なくありません。
どちらかだけではダイエット効果が見込めない方は、ピラティスとヨガの併用を検討してみてください。
ピラティスとヨガのメリット
ピラティスとヨガメリットを紹介します。
それぞれのメリットをしっかり理解しておきましょう。
ピラティスのメリット
ピラティスには以下のようなメリットがあります。
- 姿勢改善
- 腰痛や肩こりの改善
- 骨盤のゆがみ改善
- 肌トラブルの改善
それぞれ詳しく解説します。
姿勢改善
ピラティスでは、猫背などの悪い姿勢の改善に期待できます。
背骨にもっとも近い筋肉を鍛えられるため、前から後ろへ押す力が強化される、姿勢がよくなります。
さらに、頭から首、背中の正しい位置を意識しながらエクササイズするため、今まで辛かった正しい姿勢が楽に保つことが可能です。
常に正しい姿勢を保てられるようになると、ボディラインも美しく見えます。
腰痛や肩こりの改善
ピラティスでは、腰痛や肩こりの改善にも期待できます。
猫背などの悪い姿勢が癖になっていると、肩こりや腰痛を引き起こしがちです。
インナーマッスルを鍛え、姿勢が改善されると、腰痛や肩こりも緩和されていきます。
また、ピラティスでは全身の血流もよくなるため、腰痛や腰回りをはじめとする筋肉の凝り固まりも解消してくれます。
骨盤の歪み改善
ピラティスでは、骨盤の歪みが正常な位置に戻る効果が期待できます。
普段の生活で足を組んだり利き手でバッグを持ったりなどの無意識な行動が、骨盤の歪みにつながります。
骨盤が歪んでいると、血行不良で腰の痛みや冷え性の原因となってしまうのです。
ピラティスでインナーマッスルを鍛えると、骨盤の歪みが改善され、冷え性や生理痛の緩和、むくみ、便秘の改善が期待できます。
肌トラブルの改善
ピラティスは、肌トラブルの改善にも期待できます。
エクササイズで筋力を上げることで、新陳代謝も向上し、リンパの流れが良くなります。
すると、老廃物を排出する働きが活性化し、肌トラブルの原因となる便秘や内臓機能の働きが改善され、肌のくすみが取れ美容効果につながるためです。
さらにピラティスは、自律神経も整う効果もあるため、ストレスが理由の肌トラブルへの効果も期待できます。
ヨガのメリット
一方のヨガには、以下のメリットが挙げられます。
- 気軽に始められる
- ストレスが軽減できる
- 呼吸が改善される
- 集中力が向上する
ピラティスは主に、精神的なメリットが多くなります。
気軽に始めれられる
ピラティスは、マットと動きやすい服装があれば自宅でも気軽に始められます。
ヨガのやり方を解説している動画も多く、気軽に始められるオンラインヨガレッスンの需要も高まっています。
年齢や性別に関係なく始めやすいため、運動不足を感じる方におすすめのエクササイズです。
ストレスが軽減できる
ヨガでは、日常とは異なる腹式呼吸で、いつもより深い呼吸を意識します。
深く呼吸することで、自律神経が整いリラックス効果が期待でき、ストレス軽減に繋がります。
ストレスを軽減させると、集中力も上がり、仕事の生産性向上も期待できるでしょう。
呼吸が改善される
ヨガでは、深く深呼吸する腹式呼吸でエクササイズを行うため、呼吸の改善にも期待できます。
肺活量や1回ごとの呼吸量を増やせる副次的なメリットもあります。
腹式呼吸は、普段からトラブルなどの緊急事態時でも落ち着きを保てたり、ストレスフルな状況下でもクリアに物事を考えられたりと、日常生活でも応用可能です。
集中力が向上する
ヨガには、集中力の向上に繋がるポーズがたくさんあります。
代表的なポーズが「木のポーズ」や「英雄のポーズ」、頭のツボを刺激する「うさぎのポーズ」などです。
ヨガを上手に取り入れていけば、リフレッシュ効果や運動効果を得ながら集中力アップに繋がります。
ピラティスとヨガのデメリット
ピラティスとヨガのメリットを紹介してきましたが、やはりデメリットも存在します。
どちらのデメリットを理解したうえで、ピラティスとヨガどちらを始めるか決めるのもおすすめです。
ピラティスのデメリット
身体的なメリットの多いピラティスですが、以下のデメリットが挙げられます。
- 効果が得られるまでに時間がかかる
- ハードトレーニングで体力を使う
それぞれの理由を説明します。
効果が得られるまでに時間がかかる
ピラティスは、1日2日しただけで効果がでるエクササイズではありません。
そのため、短期間で効果を得たい、ダイエットに成功したい方は、ピラティス向きではないです。
短期間で効果を得るには、「大量の汗で体内の水分量が減ったとき」「高強度トレーニングをしてカロリーを消費したとき」と大きく2パターンあります。
ピラティスは、この2つのパターンに属していません。
短期間でダイエットしたい方は、パーソナルジムなどのトレーニングできる場所がおすすめです。
ハードトレーニング
ピラティスは、ダイナミックな動きやある程度ハードな動きを伴うエクササイズです。
そのため、ハードなトレーニングが苦手な方にとって、デメリットのひとつと言えるでしょう。
ピラティスは、これまで歪んでいた骨や筋肉を正しい位置に導くエクササイズのため、想像以上の運動量です。
そもそも、運動が苦手という方には不向きになってしまう可能性があります。
ヨガのデメリット
一方のヨガには、このようなデメリットが挙げられます。
- ポーズが難しく覚えるのが大変
- ケガのリスクがある
それぞれ詳しく解説します。
ポーズが難しく覚えるのが大変
ヨガは、単純なストレッチと比べるとやや複雑な動作が多いため、ポーズが難しく覚えるのが大変です。
力を入れる場所や固定しておく場所を同時に意識する必要があるため、ヨガに関する知識が全くない人が1人で取り組むのはやや難しいのがデメリットです。
動作は複雑化もしれませんが、一度覚えてしまえばい1人でもできるため、まずはヨガインストラクターの指導を受けるといいでしょう。
ケガのリスクがある
ヨガは普段使わない筋肉を使うエクササイズが多いため、ふとした拍子に関節をひねってしまったり、思わぬ箇所に負荷をかけてしまったりと、ケガのリスクがあります。
中・上級者の方でも、難しいポーズにチャレンジする中で、ケガをしてしまう恐れがあります。
ヨガに慣れていて、より難しいポーズに挑戦したいという人も、とにかく無理をしないことが重要です。
ピラティスが向いている人
ダイエット効果も期待できる「ピラティス」に向いてる人の特徴を紹介します。
- 身体を引き締めたい人
- 体幹トレーニングをしたい人
- 理想的な姿勢を取り戻したい人
- 自分と向き合う時間が欲しい人
それぞれ詳しく解説します。
身体を引き締めたい人
ピラティスは、お腹周りや二の腕など、気になる身体の部位を引き締めるために効果的です。
身体の深部にあるインナーマッスルを鍛えると、代謝も上がり、脂肪を燃焼した引き締まった身体になります。
また、身体をしなやかにする筋肉も強化できるため、キレイなボディラインが維持できます。
体幹トレーニングをしたい人
体幹トレーニングにおいて、ピラティスは理想的なエクササイズといわれています。
ピラティスでは、インナーマッスルを鍛えるトレーニングがほとんどで、継続していけば意識しなくても自然と鍛えられます。
体幹の強さが必要なゴルフやサーフィンなどのスポーツを行っている方に、特におすすめです。
理想の姿勢を取り戻したい人
ピラティスは、猫背などの姿勢改善にも期待できます。
身体には無数の筋肉と骨が存在しますが、意識せずに生活している方がほとんどです。
しかし、ピラティスでは普段の生活で気にしない筋肉や骨を意識しながら、エクササイズを行います。
筋肉や骨を正しい位置に戻すことによって、理想の姿勢が手に入ります。
自分と向き合う時間が欲しい人
ピラティスは、仕事や家事で忙しくて、自分と向き合う時間がない方にもおすすめです。
ピラティスで行う「胸式呼吸」は、自律神経のバランスを整え、心身ともに健康な状態にしてくれます。
適度に筋肉を収縮させたり、鍛えたりするため、身体のリラックス効果も期待できます。
ヨガに向いてる人の特徴
反対に、ピラティスではなく「ヨガ」に向いている人の特徴を紹介します。
- ストレスを感じやすい人
- 身体が硬い人
- 健康づくりに運動を取り入れたい人
- 集中力を高めたい人
それぞれ詳しく解説します。
ストレスを感じやすい人
ヨガは、日頃の生活でストレスを感じやすい人におすすめです。
ヨガの内容は、瞑想や腹式呼吸を行い、ゆっくりと筋肉や関節を伸ばすため、心身ともにリフレッシュできるメニューがほとんどです。
そのため、日頃のストレスで身体や心が疲れている方に、ヨガは向いています。
身体が硬い人
身体が硬い人こそヨガがおすすめです。
ヨガをすると身体が柔らかくなります。もともと身体が柔らかい人がヨガをするよりも、身体が硬い人のほうが効果を実感しやすくなります。
実は身体が硬い状態というのは、精神的にも見えないストレスがかかっている状態です。
身体が柔らかくなると、精神的にもストレスが減る状態になります。
健康づくりに運動を取り入れたい人
ヨガは意外と体力を使うため、健康づくりに運動を取り入れたい人におすすめです。
筋肉も鍛えられ、柔軟性も高まり、さらに精神的に健やかになります。
そのため、ヨガは健康を求める方におすすめしたい運動のひとつです。
さらに、ヨガには色々な種類があるため、自分自身の体力に合ったヨガも見つかります。
集中力を高めたい人
ヨガには集中力をアップさせる効果が期待できます。
集中力アップにつながるヨガポーズはたくさんあります。
バランス系の「木のポーズ」「英雄のポーズ」や頭のツボを刺激する「うさぎのポーズ」などです。
ヨガを上手に取れ入れれば、運動効果やリフレッシュ効果はもちろん、集中力アップにつながります。
まとめ
似てるように見えるピラティスとヨガですが、違いは大きく5つあります。
- 成り立ち
- 目的
- 身体の動き・呼吸法
- 効果
- 使用するマット
身体能力をアップしたい方や姿勢の改善したい方には、体幹が鍛えらえるピラティスがおすすめです。
一方のヨガは、心が疲弊しがちな方やメンタルケアしたい方におすすめのエクササイズです。
ピラティスとヨガ、どちらの特徴を理解したうえで、自分に向いているエクササイズを選びましょう。
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